中野ピク氏の絵のブログ

絵を描いたり、絵についての文を書いたりします。

正面向きの顔を白い紙に描く | 学習 |【00002】

はじめに

私はこれまで顔の縦横比がどの程度かといったことなどはあまり意識せずになんとなく絵を描いてきましたが「あれ?なんか面長になっちゃった。」「あれ?なんか顔が横長かも。」とバランスが自分でもわけがわからなくなって、消して描いて、消して描いてを繰り返して迷走することが頻繁にありました。

そういったことをできるだけ解消していきたいと思っています。

以前、「1mm方眼紙で正面向きの顔を座標化して直線だけで描く | 学習 その0001【00001】 - 中野ピク氏の絵のブログ」で絵を座標化して方眼紙に描いてみましたが、実際は目盛りのない無地の紙などに描くことの方が多いと思います。

補助線を目分量で引きながら、何度も絵を安定的に再現できるように手順を模索してみました。

任意の長さで縦線を書いて8等分する

まず任意の長さで縦線を書きます。

線は半分の半分の半分にします。
8等分など、比較的目分量でもやりやすい「2のn乗等分」で引いた補助線をもとに、何度も絵を安定的に再現できるように心がけています。
このとき紙に目を近づけず、なるべく目を離した状態で、半分の位置に印を付けていくと等分しやすいと思います。

0~8の数字を付けます。
今後の説明ではこのひと目盛りを1の単位として説明してみます。

f:id:nakano_pixy:20180107012733p:plain

6と4の長さの横線を引く

上から2の高さに、長さ6の線を引きます。
先に長めの線を引いたあと左右対称になるように1目盛りずつ印を付けていって、余った線を消すと比較的簡単に長さ6の線が引けると思います。
0~6の数字を付けます。

上から6の高さに、長さ4の横線を引きます。

f:id:nakano_pixy:20180107012806p:plain

縦線の0の上に-1の目盛りを追加する

縦線の0の上に-1の目盛りを追加します。 これで座標で描いていたときと同じく、縦横比が3:2(9:6)になります。
始めから縦線を9等分するよりは、おそらくこの方が簡単だと思います。

f:id:nakano_pixy:20180107012831p:plain

半円と二等辺三角形を描く

半円は難しいですが、だいたいで描きます。

f:id:nakano_pixy:20180107012852p:plain

半円と二等辺三角形の端を線で繋ぐ

輪郭ができます。

f:id:nakano_pixy:20180107012918p:plain

髪の生え際、目の高さ、鼻、口、顎の高さに補助線を引く

参考画像の赤線にあたる補助線を引いていきます。

  • 髪の生え際として、縦位置1.5の高さに1から5までの横線を引きます。
  • 目の中心線として、縦位置4の高さに0から6までの横線を引きます。耳を描くときの補助線でもあるので0から6までの横線です。
  • 鼻の補助線として、縦位置6よりも少しだけ上に横線を引きます。数値で表現すると縦位置5.9の高さに、2.9から3.1までの横線ですが、方眼紙ではないのでおおよそで引きます。
  • 口の補助線として、縦位置6.5の高さに2から4よりも少し短い程度の横線を引きます。およそで良いと思いますが、数値で表現すると2.25から3.75までの横線なので場合は半分の半分で目盛りを追加していくと引けます。
  • 顎の補助線として、縦位置7.75の高さに横線を引きます。1の長さに対して半分の半分で目盛りを追加するようにして引きます。

f:id:nakano_pixy:20180107013015p:plain

眉毛、目、耳の高さ、横位置に補助線を引く

参考画像の緑線にあたる補助線を引いていきます。
以前方眼紙に描いた絵を下に敷いた方がイメージしやすいかと思ったので合わせてみました。

右目、右耳を基準に説明します。

  • 眉尻は縦位置3です。
  • 眉尻と目尻は横位置が1で同じになります。
  • 眉頭は横位置2.5ですが、目頭は横位置2.4です。細かい数値を示しましたがおおよそで良いと思います。
  • 耳の上の付け根は「目より少し上」という程度で良いと思います。眼鏡をかけたときに目との位置関係がおかしくない位置ということなので眼鏡をかけた顔を描いたりしながら徐々に慣れていくのが良さそうです。この参考画像では縦位置3.6の高さです。
  • 耳たぶの付け根は縦位置5.5の高さになります。
  • 対称となる位置に左目、左耳の補助線を引きます。

f:id:nakano_pixy:20180107013058p:plain

実際に白い紙に描いてみる

以前方眼紙に描いたものを参考にしながら、ざっとですが描いてみました。
縦横比3:2よりもちょっと横の比率が大きいですが、今後も練習を重ねていこうと思います。

  • 髪の生え際は眉尻との位置関係をもとに、眉尻よりちょっと上に角をもってきたりしています。
  • もみあげは縦位置5のあたりで輪郭線と交わるような感じで描きました。
  • 目は最初から曲線で描くと左右のバランスが取り難いので、直線で左右の目をひし形に描いたあとで徐々に曲線化しています。
  • 右耳の上側の付け根から、縦位置4、横位置0の赤線で引いた補助線の先端に山なりの曲線をひくイメージで描いています。左耳は対称に同様です。
  • 方眼紙に描いた直線の顔からもわかるように、縦位置5の高さで耳の輪郭線の角度が変わるようなイメージで線を引いています。
  • 今回の単位で上手く表せない部分もありますが、おおよそどのあたりなのか方眼紙に描いた顔と見比べながら描いてみました。髪の生え際などは今回引いた補助線に対しておおよそどのあたりなのか記憶していく必要はありそうです。

f:id:nakano_pixy:20180107033646j:plain

1mm方眼紙で正面向きの顔を座標化して直線だけで描く | 学習 |【00001】

1mm方眼紙に直線だけで描いた顔

f:id:nakano_pixy:20180107033514j:plain

1mm方眼紙に直線だけで描いた顔にトレーシングペーパーを被せて描いてみた顔

f:id:nakano_pixy:20180107033538j:plain

始めたきっかけ

始めたきっかけとして、大きくは以下の二点がありました。

  • 自分自身がもうひとつ壁を越えて絵が上手くなりたい
  • 誰もが絵が上手く描けるためにどうしたら良いか練習方法を考えてみたい

1mm方眼紙に直線だけで描いた顔の説明

整数の座標をもとに直線でつなぐとか、円形や正方形などの単純な図形の組み合わせで絵を表現できないかと試行錯誤して今回のような形状になりました。

顎の部分は正方形を45度傾けて半分に切ったものです。直角二等辺三角形ともいえます。(90度の角の先端は最後に少し切り取ります。)
頭の上部は半円形です。(今回は紙に定規だけで描いているため正16角形を半分に切ったものです。)

頭頂部から、顎の先端(90度の角の先端)までは180mmで横幅の一番広いところは120mmです。つまり 縦3 : 横2 の比率です。

このように自分自身での描きやすさや、誰かに説明するときの説明しやすさなども念頭に置いて、顔の輪郭形状や目や口の配置位置を定義してみました。

もちろん絵を描くときはキャラクターによって面長だったり丸顔だったり色々ありますし、作品によっても大きく違うので、一概に決めつけるものではなく目安を数値化したり、説明しやすいように言語化する意図です。

ひとつひとつの点の、細かな座標は今のところ記載していませんが、座標を記載することで誰でも同じように描けると思います。

1mm方眼紙に座標化してみて気付いたことなど所感

非常に多くのことに気付きました。

これまで自分自身がなんとなくの勘みたいなもので漫画などの絵を描いてきたので、誰かに説明をするとなると非常に難しいと感じましたが、それを頑張って分解していくことで自分自身の学びになりました。

また、漫画を描いたときに、同じキャラを描いたつもりが一コマごとになんか違う顔になってしまうことに悩んでいたものの、具体的には何も対策してこなかったことに気付きました。
今回、顔の縦横比や目などの位置の目安をなんとなく意識するだけでも絵が安定すると感じました。

鼻、耳、唇、瞼などのの凹凸、髪の毛の生え際、これまでなんとなく描いてきたものをより注意深く観察して、ときには言語化、数値化することで、今まで気づかなかったわずかな凹凸が自分の中で意識されました。

絵が上手くなるためにただなんとなく数をこなすように描いてきたこともありましたが、写真や実物などの詳細な観察を通して、その形状をできることなら誰かに説明できるほどに言語化して理解することが近道なのではと現在感じています。
ここはへこんでいる、ここは出っ張っている、180mmのうち、目は上から100mm程度の位置にある。眼球の形状にそって瞼に丸みがある。頭蓋骨の形状にそって眉毛のあたりや頬の凹凸がある。などもっと観察して理解していきたいと思います。
表面に見えている形状には、骨や筋肉などが大きく影響しています。

また、何も見ずに描くためには記憶もしていくことが必要だと思います。写真のような2Dとしての記憶と、立体としての理解が進むとただ数をこなすよりも上手くなれそうな気がしています。
考えることと、手を動かすこと。バランスよくやっていこうと思います。

理解や記憶が不十分なうちから見本を見ずに想像で描くことは、成長を鈍化させたり止めたりしてしまうと思うので、もっと謙虚に見本を観察していこうと思います。

1